エンジンについての考察


【序章:エンジン話】  

猿人(?)・・・いやいや、エンジンのお話しである。 
現在、CR−X/delSolには、次の3種のエンジンが存在する。

[VXi用D15B]・・・1.5l SOHC 
総排気量 (cc)=1,493 
内径×行程(mm)=75.0×84.5 
圧縮比=9.3 
最大出力 (PS/rpm) =130 /6,800 
最大トルク(kgm/rpm)=14.1/5,200

[VGi用D16A]・・・1.6l SOHC 
総排気量 (cc)=1,590 
内径×行程(mm)=75.0×90.0 
圧縮比=9.6 
最大出力 (PS/rpm) =130 /6,600 
最大トルク(kgm/rpm)=14.9/5,500

[SiR用B16A]・・・1.6l DOHC 
総排気量 (cc)=1,595 
内径×行程(mm)=81.0×77.4 
圧縮比=10.4 
最大出力 (PS/rpm) =170 /7,800 
最大トルク(kgm/rpm)=16.0/7,300 
※.AT仕様車の場合、出力・トルクの味付けが、多少違います。

 それぞれの特徴を簡単にまとめると、以下の様に成る。
(1)V系(以後、この呼称は、VXiとVGiとをまとめて指します)
   のエンジンは、行程長さが異なるだけで、基本的には、実用性重視
   のロングストローク型エンジンで、4バルブのSOHCとしている。
(2)SiRのエンジンは、高回転高出力を狙ったショートストローク型
   で、可変バルブタイミング・リフト機構(VTEC)を吸排気の両
   バルブに配置する4バルブのDOHCである。自然吸気(NA)と
   しては、リッター当り100馬力以上と云う、レーシングエンジン
   並みの出力を誇る。

【第2章:ロングなV系に物申す!】  

エンジンってのは、混合気を燃焼させて、その爆発力を引き出す機関です。
エンジン燃焼室での爆発力は、先ず最初にピストンの往復運動を引き起こ
し、次に、クランクで円運動に変換され、クランク軸の回転運動に集約さ
れる。  

通常は、往復運動長さ(行程)が、そのまま、クランク径に対応するため、
行程が長い程、モーメントが大きく成り、軸トルクを稼ぎ易く、回転数を
稼ぎ辛く成ります。
 
V系の様なロングストローク型エンジンは、実用回転域で高トルクを発生
するトルク志向エンジン。
低回転域から太いトルクを発生し、平坦なトルクカーブを得易い。
出足が良く、低速で粘りがある反面、頭打ちで伸びの無いエンジンに成り
易い。
 
一方、ショートストローク型の場合、高回転高出力の馬力志向なエンジン。
ピーキーなトルクカーブに成り易く、そのため、頻繁にギアチェンジが必
要なため、スポーツカー向きとも言える。SiRのエンジンは、こちら。
 
この辺りを踏まえて、デルソルを考えた場合、SiRとV系とでは、その
志向が違い、走りの性格が違うのです。
エンジンが、DOHCとSOHCとで違う事や、高級版と廉価版のような
価格での差別化とかでは無く、根本的に、性格着けが、まったく違うので
す。
 
兄弟車種のシビックの場合ならば、多種多様なユーザー層を狙うためにも、
志向の多様化を理解できます。でも、特に趣味性の高いデルソルの様な車
で「特異な同一外観で、敢えて志向性の違う車が、はたして必要なのか?」
と疑問に思います。
趣味性の高い車で廉価版を作るのならば、同一の志向性が必要なのでは?
・・・と。
中途半端なポリシーに、感じてしまうのです。
 
大元は、きっと、兄弟車種シビックと同じ土俵にする共用問題だけなので
しょうから、先にエンジンが決まっていた。
そして、趣味性の高いデルソルの様な車を、シビックと同じレベルで考え
ていた。
そんな不自然なしわ寄せが、V系を作り出した。
メーカー自体が、特異な趣味性の車を理解していなかったため、生れなが
らに悲運の宿命を背負っていた。
そんな処でしょうね。
(独断に満ち満ちているなぁ。V系のオーナーに、怒られそうですね。)
 
次に、VXiから、VGiへと進化する際に、エンジンの行程が長くなり、
MT2速の変速比も若干変更されています。
これの意味する処を考えてみるのも面白そうです。
なぜなら、最大出力自体は、より低回転での発生にこそ成っているものの
値は据え置きにされています。
変速比の方も、実用回転域でのトルク補強方向での変更なんですよね。
 
穿った見方をすると、(兄弟車種シビックも含めて)ロングストローク型
実用トルク重視のエンジンを載せたはずなのに、まだまだ、車重が重過ぎ
て、低速トルクが不足気味だった。
そのため、ストロークアップの手法でトルクだけを稼いだエンジンに載せ
換えた。
でも、それならばそれで、最初から、敢えて最大出力を犠牲にしても、低
速トルクの太いエンジンを載せるのが、より親切なのでは・・・?
 
結局、この章は、いつも耳にする言葉で締めくくることに成りそうです。

「ホンダのエンジンは、良く廻る!」・・・「でも、低速トルクは細い。」


【第3章:VTEC?・・・DOHC?】
 
前章では、V系を揶揄しているので、バランスを保つためにも、SiRの
エンジンの変な処についても、話す事にしよう。
これも、暴論みたいな物なので、それなりに、受け止めておくれ! 
> 各位
 
「OHCエンジン」とは、ご承知のように、元々、高回転を実現するため
に、往復運動部分の慣性質量を減らす方向へと進化して来た方式ですね。

【SOHC】一般的には、一本のカムシャフトで、ロッカーアームを駆動
      し、吸排気バルブを開閉する。   ^^^^^^^^^^
【DOHC】吸気専用の1本と排気専用の1本の合計2本のカムシャフト
      で、直接、バルブの開閉動作を行う(直打式の場合)。
 
ところが、VTEC機構は、3本のロッカーアームで実現しているので、
これを省く事ができない。
つまり、SOHC向け機構なのです。
わざわざ、DOHCにしても、直打式には成り得ないのです。
往復運動部分は減らないのです。
(ロッカーアームは、EF系ZCエンジンでも使用されています。)
 
何故、DOHCを採用したのか? 
これだけが、理由とは言えませんが、排気バルブ側までも、可変バルタイ
・リフトにしたおかげで、SOHCでは、VTECのロッカーアームが収
まり切れなかったので、取付けスペース問題からDOHCに成らざるを得
なかった・・・てのは?在りそ〜ですね(笑)。
どうやら、この辺りがクサイのでは。
だとしたら、何か、お間抜けですね。
この場合、元々、DOHCに向かないVTECを採用した事で、DOHC
にしか取付けられない結末に至ったのですから・・・(笑)。
 
最近のエンジンを見ていると、吸排気効率重視のためなのか、吸気と排気
が別々で独立制御し易いDOHCが、(その本来の姿や目的とかけ離れて)
採用される場合が多いみたいですね。
昔のDOHCのイメージ(ピーキーな高性能エンジン?)を引きずって、
DOHCって金看板だけに躍らされて、車選びに興ずる人々が、まだまだ
多いのでしょう。
でも、「DOHC崇拝」は、その御本尊が次第に変化している事も知らず
に盲信する、滑稽な宗教に成り下がっているのかも知れません(笑)。